Withlete代表のブログ

~福岡で陸上を愛する全てのランナーを繋げたい~

王道の練習「インターバルトレーニング」について

こんばんは!

 

今日は、あの鬼きつメニューの代表格、インターバルについて書いていきます。

 

この前紹介したレぺも今までインターバルと呼んできた人が多いと思いますが、ペースやリカバリーによって、その目的も異なってくるので、違いを押さえておきましょう。

 

・インターバルの目的

スピード練習?ではないと僕は考えています。

この練習は、ズバリ、心肺機能を高めることです。

 

心肺機能って言われても、ピンとこないですよね。

皆さん、最大酸素摂取量(以下、VO2max)って聞いたことがありますか?

一番激しい運動をしている時に、体重1kgで1分ごとに体が摂取できる酸素の量をミリリットルで表したものです。

 

まあ、そんなことはどうでもいいでしょうが、この値が高いほど、体が利用できる酸素の量が多くなり、速く、長く走ることが出来ます

これが低いと、走ってもすぐにヒイヒイ言っちゃうんですね。

 

よって、VO2maxを高めること=心肺機能強化を意味します。

この機能を高めるのに効果的な練習がインターバルなんです。

 

・インターバルのペース

最も効率的に心肺機能を鍛えるためには、VO2max、つまり「心肺機能めちゃくちゃ鍛わるゾーン」で走る時間を長くすればいいんですね。

先日紹介した、ダニエルズさんの研究によると、VO2maxで運動できる時間は、11分間である、と書いてあります。

 

よって、インターバルは自分の走力に応じて、10~12分間維持できるスピードで行えばいいということです。

距離にすれば、3000m前後を維持できるかどうかのペースですね。

 

実際に中学生の練習を見ていると、3000mのレースペース(昨日も言ったけど、目標のタイムではなく、現状のタイムから換算すべき)では、最後までこなせないことがあるので、1回目は、1kmあたり5秒ほど余裕を持たせます。

 

 安静時から「心肺機能めちゃくちゃ鍛わるゾーン」に到達するには、走り始めてから90~120秒かかります。

よって、インターバルを行う時は、1本が3~5分で走り終わる距離を選ぶといいです。

 

なぜ、上限が5分なのかというと、単純にきつすぎるからです。

 調整をしていない普段の練習で、3000mのレースに近いペースで5分以上走るのを繰り返すって、めちゃくちゃきついことは何となく分かってもらえますよね。

負荷が高くなり過ぎることは、ケガの原因にもなります。

まあ、中学生で1000m以上のインターバルをやっているところは、あまり見たことがないのでここは心配しなくても良いでしょう。

 

じゃあ、逆に今までやってきた400mのインターバルは1分ちょいしか走らないから、全く意味ないの?と思ったかな?

安心してください。

2分間以内のインターバルでも心肺機能に負荷をかけることが出来ます。

ただし、リカバリーをかなり短くする必要があります。

基本的に、インターバルの休憩は、走った時間より短くすべきなので、400mだったら休憩を30~60秒くらいでやれば問題ないです。

そうすれば、次の1本も少しハアハア言った状態から走り始められるので、すぐに「心肺機能めちゃくちゃ鍛わるゾーン」に突入することが出来ます。

 

 

この練習を中学生がやるとき、ペース速すぎ問題が浮上しているのをよく見かけます。

例えば、1000m×3のインターバルを行う時、3000m10'00(3'20/km)が自己ベストなのに、1本目を3'10で走って、2、3本目で失速するといった練習をしている子はかなりいます。

意味がないとまでは言いませんが、せっかく1000m3本やるなら、その分だけ、心肺機能に負荷をかけれた方が、より練習になりますよね。

 

2、3本目失速してしまえば、心肺機能に負荷をかけることが出来ないため、きつさの割にもったいない練習となってしまいます。

ぶっ飛ばすと、ペースが速い分、「心肺機能めちゃくちゃ鍛わるゾーン」に短い時間で突入しますが、そのペースを維持できる時間も短いため、結果として、練習効果としては高くならないということです。

また、たとえペースが正しくても、休憩時間が短すぎると、同じようにペースを維持できないので、注意が必要です。

 

この前のレぺの時にも言ったように、練習の目的を理解していなければ、”ムダに”速いペースで走りすぎて、”ムダに”休憩を短くし過ぎて、走った分の練習効果を得られません。

 

ダニエルズさんが本で強調しているのですが、「最小の負荷で、最大の練習効果を引き出す」という考え方は、中学生だろうが、大人だろうが、関係なく大切にしてほしいです。「楽して速くなる」とは違いますよ!

 

「誰よりも追い込んで強くなる」とは、美しい言葉ですが、ケガのリスクを出来るだけ低くして、速くなる方法を考えなければなりません。

とはいえ、中学生はどうしても飛ばし過ぎてしまうもの。

それを上手く抑え込みながら伸ばしていくのが、指導する人間の役目だと自分に言い聞かせています。

 

・具体的なメニュー例

僕が、教えている中学生女子(1500m4'55、3000mは走ったことないけど10'40を想定)には以下のインターバルをやっています。

・1000m×3(3'35) r=3分

・800m×4(2'50)r=2分

休憩はジョグでも立ち止まってもOKです。

色々なパターンがありますが、目的や注意点を理解しておけば、応用が可能です。

距離が測れない場合は、3分速く走って2分休むなど、時間で区切っても出来ますね。

 

・最後に

僕は、ポイント練習が終わった後の中学生には、必ず「今日のきつさは10段階で表すと何だった?」と聞きます。

選手が「8」と答えたら、適切な負荷だったと判断し、次回も同じ設定で行います

選手が「9」あるいは「10」と答えたら、負荷が高すぎたと判断し、逆に「7」以下であれば、もう少しきつくしていいと判断します。

その際は、選手に次回は設定タイムをどうすれば適切な負荷になるか、あるいはどのくらい休憩を取れば、今日と同じペースでこなせるかを考えてもらいます。

 

練習中でもコミュニケーションを取り、3本目まで同じペースで走れそうにないと判断したら、少しペースを落とすようにします。

大人数での練習では、一人ひとりまで目を配ることは不可能なので、選手自身が先生に言えるような雰囲気があるといいですね。

 

2日前と今日の記事でレぺとインターバルの違いを理解することが出来ましたか?

今までは、全てを「インターバル」とひとくくりにしていた子が多いでしょう。

名前の違いは定義上の問題なので重要ではありませんが、ペースや休憩時間によっては、目的が変わってきます。

スピードを鍛えたければ、レぺ。

スピード持久力を鍛えたければ、インターバル。

 

筋トレも、どこを鍛えているかを考えてやるのとやらないのでは、効果に違いが出るという研究を読んだことがありますし、目的が分かっていれば、適切な追い込み方が出来ます。

明日は、ペース走について書く予定です。

 

今は基礎中の基礎を書いているので、かなり長文になってしまっています。

ごめんなさい。

それでは、ばいばーい